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2018.04.09
遺留分とは
事例を一つ挙げてみましょう。
遺言者(A)は、両親は既に他界しており、妻Bと長男C、他に姉D、病気療養中の叔母Eがいるとしましょう。ある日、Aが亡くなり相続が開始しました。法定相続通りに遺産分割をするとなれば、BとCが半分ずつ相続することになりますが、Aは全ての財産をBに相続させる旨の遺言書を残していました。この場合、Cはまったく相続できないということになりますが、では、Cはどうすることもできないのでしょうか?
実は、兄弟姉妹以外の推定相続人は、相続財産に対して一定割合の取得分を有しています。これを遺留分といいます。遺言により相続財産がなかったとしても、意思表示をすれば遺留分を取り戻すことができます。これを遺留分減殺請求といいます。ある程度は相続人の権利も保障されているということですね。ですので、遺留分を侵害する内容で遺言書を作成した場合、遺留分減殺請求をされる可能性を考慮した方がいいでしょう。遺留分減殺請求をしないよう求める付言事項を加えておくことで、遺留分減殺請求権の行使を抑止できる可能性はあります。さらには、何故遺留分を侵害してまで特定の者に相続させたいのかを明記しておくとより良いです。
記載例を挙げておきます。
「妻Bが、病気療養中の叔母Eに対し、妻B自身の財産を用いて必要な介護を行うことを条件として、僅かばかりの財産を全て妻Bに相続させる。
したがって、長男Cには相続させない結果となったが、長男Cには上記趣旨を理解して遺留分減殺請求権を行使しないでほしい。」
あくまでも付言事項にとどまり、法的拘束力は生じませんが、全財産を妻Bに相続させるとただ書くよりも、少し印象が変わると思います。ちなみに、遺留分を有しているのは「兄弟姉妹以外の推定相続人」となっているので、姉Dはそもそも遺留分減殺請求はできません。
以上、簡単にですが、遺言書に関する基本的な点をご説明しました。遺言書を作成することは、自分のためだけではなく、家族のためでもあります。作成したいけどどうしたらいいのか分からないなど、お困りの方は、いつでもご相談ください。