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2018.07.23
平成30年7月6日、相続に関する民法改正案が衆議院本会議で可決され、成立しました。これにより、昭和55年以来、約40年ぶりに相続法が改正されることになります。今回の改正が私たちの生活にどのような影響を及ぼすのかについて、①配偶者の居住権を保護するための方策、②遺産分割に関する見直し、③遺言制度に関する見直し、を中心にご説明したいと思います。
①配偶者の居住権を保護するための方策
相続開始時における配偶者の高齢化を考慮し、配偶者保護のための方策として「配偶者居住権」が新設されました。これは、相続開始後、終身又は一定期間、故人の配偶者に自宅の使用を認める法定の権利です。現行制度でも、自宅の所有権を相続すれば引き続き使用することは可能ですが、その代わり遺産分割で取得できる他の財産は少なくなります。つまり、相続により自宅の所有権を取得したとしても、生活費の不足により自宅を売却することになり、結局住む場所を失う可能性が考えられます。そのような配偶者の状況を配慮し、「配偶者居住権」を新設することで、配偶者は、自宅の使用を継続しながら他の財産も取得できるようになります。
また、故人の配偶者に、相続開始後最低6か月間は自宅を無償で使用する権利を認める「配偶者短期居住権」も、同様に今回の改正で新設されています。