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2018.10.01
②遺産分割に関する見直し
配偶者保護方策の一つで、「持戻し免除の意思表示推定規定」が設けられました。現行制度では、夫婦間で遺贈又は贈与を行った場合、特別受益を受けたものとして取り扱われますが、改正後は、婚姻期間が20年以上の夫婦間において自宅を遺贈又は贈与した場合、特別受益にあたらず遺産分割の対象から除外されることになり、配偶者はより多くの財産を取得できるようになります。このような場合の遺贈や贈与は、配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障の趣旨で行われることが多く、今回の改正により、そのような趣旨を尊重した遺産分割が可能になります。
さらに、現行制度では、被相続人の死亡と同時に被相続人の財産は相続人全員の共有となるため、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金債権の払戻しはできませんでしたが、生活費や葬儀費用の支払い及び相続債務の弁済などに対応できるよう、「預貯金債権の仮払い制度」が設けられました。これにより、遺産分割前であっても被相続人の預貯金債権の払戻しができるようになり、一定額については、家庭裁判所の判断を経ずに単独で払戻しができるようになります。