ある日突然、Aさんのもとに、法律事務所から内容証明郵便が届きました。急いで中をあけてみると、「Aさんの叔父様が亡くなったこと。その叔父様には、未払いの家賃滞納があること。・・・そのため、相続人であるAさんに、金〇〇〇円の支払を請求致します(略)。」等が書かれた支払督促でした。
音信不通だった叔父様が亡くなられていた事はとても残念な事ですが、加えて、突然多額の請求が向けられたことについて受取人のAさんは、大きな驚きと不安を受けられたようです。
なぜそのようなことが起きたのでしょうか。督促の内容を見せていただくと、先順位の叔母様やそのお子さんがすでに相続放棄をされている為、その次順位の相続人にあたるAさんに請求を行うというものでした。

民法では、「相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内」の相続放棄を認めています(民法第915条)。放棄が認められれば、相続による債務負担から免れることができます。ただ、期間制限がある為、相続放棄の手続きはできるだけ迅速に行っていく必要があります。
先順位の相続放棄がなされて、知らぬ間に相続人となった場合には、「相続の開始(被相続人が亡くなった日)から3ケ月」が経過していることもありえます。この場合には「被相続人の亡くなった事実を知った時から3ケ月」が経過したか、仮にそうだとしても「特別な事情」があるのかが考慮されます。
今回のケースがまさにこれにあたります。
Aさんは、司法書士に相談をなされながら、叔父様が亡くなった事を知った経緯について、司法書士のアドバイスをうけながら何度となく説明されておりました。その後、無事にAさんの申述は受理され債務負担からも免れることができたものの、かなり不安な時間を過ごされたようです。のちに、Aさんはこの間の司法書士のアドバイスについて、精神的な支えとして非常に有難かったとおっしゃっていました。

相続時に相続人の方々がおかれる状況はさまざまです。もし、相続放棄で迷われている方がいらっしゃいましたら、まずは司法書士等の専門家にアドバイスを求めてみることをお勧めしたいと思います。
当事務所でもご相談いただけます。お気軽にお尋ねください。